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第二回 エチオピア笑い巡礼2400kmの旅

 赤道直下という位置にありながら、東アフリカにあるエチオピアは意外なほど涼しく過ごしやすい地域です。それはこの地域が高度2000mから3000mという高原地帯だからです。広大なサバナ、高い山々、沢山の湖など変化にとんだ東アフリカの中核にあるエチオピアは、古い歴史を有し、日本の面積の三倍、人口7700万人の「信仰と伝説の国」といわれています。

私はイギリスの友人でラフターアンバサダーの称号を持つマンチェスター在住のロビン・グレハム氏から昨年来、クリスマスからお正月にかけて「エチオピア笑いツアー企画」があるので一緒に行こうというお誘いを再三受けていました。しかし、エチオピアといっても1964年の東京オリンピック大会で、裸足で走ったマラソンランナーで金メダリストの“アベベ“を思い出すぐらいで、あまり私にとって馴染みのない国です。ロビンになぜそんなにエチオピアに行きたいのかを尋ねました。



                                      乾期のサバナをバスで毎日6時間

彼の返信メールによると、エチオピアには”笑いの巨人“がいるというのです。


その名はWLM(ワールドラフターマスター)ボラッチョウ。なんと「世界笑い大会」がドイツのミュンヘンで開催され、そこに出場したエチオピア代表の彼は、連続“3時間6秒”大笑いを続けその驚異的記録に対してWLMの称号が付与されたという人物です。それ以来彼は世界を舞台に“笑い“の様々な活動を行っていますが、今回は大型バスでエチオピア北部の世界遺跡を巡りながら一週間の「ラフターツアー」を企画したので、ロビンが私を誘ってくれたのでした。




   笑いの巨人WLM ボラッチョウ氏

好奇心旺盛な私は、世界70か国以上は訪れていますが、アフリカは未踏の地でしたので、いつか挑戦してみたいと思っていました。また、一年の最後に自分へのご褒美も悪くないと考え参加を決意しました。(これも0.2秒の法則→即断のテレパシーに則って!かな?)


トルコ航空で2013年12月23日夜10時に成田を出発。イスタンプールでの14時間の乗り継ぎ待合時間は長かったけれど、アフリカ向け電気のプラグを調達したり、お土産を買ったりして退屈する事はありませんでした。そしてアディスアベバ国際空港には、笑顔のロビンが出迎えに来てくれていました。


マンチェスター(UK)在住 ロビン・グレハム氏彼とは4年前にスイスで一緒にラフターヨガティーチャー養成講座を受けた以来ですので再会を喜び会いました。挨拶がすんだ後に「ここはアフリカだから、予定はあってもないという事は君には解かるよね?!」と意味深な事をいいだしました。「どうしたの?」と聞くと「バスが予定の17時間前に出発してしまったんだ!」と言うのです。よくこうした国では乗り物が遅れるというのはあるけど、早く出発したというのはあまりありません。



理由を詳しく聞いて、謎が解けました。エチオピアでは(赤道直下ではほとんど一年中太陽の出没時間は変わらないから)太陽の動きに合わせて、日の出の朝6時を午前0時、日没の夕6時を午後0時とする「12時間制」がこの国では使っているのです。ロビンはエチオピア時間かヨーロッパ時間を確認せずバス時間を勘違いしたので、バスは出発しちゃったようです。


「アハハハ…」 飛行機が無事着いたという安堵感もつかの間、乗るバスがないというトラブルを、“何とかなるさ!“と思える自分がいる事が不思議でした。こんな時にも笑ってみると落ち着くものです。とに角、次に進む事だけを考え、二人で国内線を探し、彼らが次に着く予定の町(MEKELLE)までのティケットが買えたので、ホッとして飛行場で3時間仮眠する事が出来ました。


MEKELLEの町についてタクシーを探しやっとWLM ボラッチョウのホテルにたどり着きました。誰かが連絡したのでしょう。黄色いTシャッツに黄色の野球帽をかぶった真っ黒の大男が階段から駆け下りて来て、私を見るなり手を広げ私を抱き上げて雷が落ちたかと思うような大きな声で大爆笑しました。





村の長老が突然道路に現れ太鼓で歓迎


この初対面のWLMの“歓迎の笑い”を私は一生忘れないでしょう。


私達を置いて出発した事を謝る事も、旅の疲れを聞く事もなく、彼は唯々私が今そこにいる事が嬉しくて、嬉しくてたまらない!!! その喜びを、大きな笑いで表現し、私を抱き上げ仲間達に見せ回って知らせるのでした。

  ラフターツアーの仲間と村人の交流         熱いので体中白い布で身体を覆う女性達

それから一週間、WLMのラフタースクールの学生を中心に約50人が3台のバスに乗り、行く先々の町や村の人々と交流して笑い、地域にある世界遺産や歴史文化の遺蹟を訪ね、共に語り同宿しました。



バスから降りると大勢の子供が寄ってきます。お金をせがむ子供やサマリアから逃げて来ている男の子、アクロバットの芸を見せて得意がる7才の子、女の子は手に摘んできて作った花飾り…どの子の目も大きく開いて好奇心いっぱいでキラキラ輝いています。





  バスから降りて朝のラフターエクササイズ

WLMボラチョウは子供たちを集めて、大きな声で笑います。最初は緊張している子供たちも誰かが笑いだすと皆つられて笑います。大きな笑いがあたりに響くと大人もよってきてみんな笑い出します。その笑い声が渦を巻いて愛と希望の笑いになってサバナの山々にこだましていくようです。

    村の子供たちと一緒に笑う



WLMボラチョウの最初の妻はHIVで二人の子供を残して亡くなりました。そして彼もHIVの保菌者でした。悲しみのどん底で彼は旧約聖書を読みました。そこにあった「喜びの心は病にならない」という箇所にインスピレーションを感じ、それから彼は喜び=笑いと考え、笑う決心をしたのです。笑って、笑って大声で毎日笑いました。その結果彼のHIVの菌が消えました!!!エイズも笑いで治した???!!! WLMボラチョウさんはす・ご・す・ぎ・る!!!




       エイズ施設の女性達

彼はエイズ患者の施設を訪れ、患者と一緒に笑います。今回も黄色の帽子に“コンチャンを使おう”というマークを付けてエイズの施設で笑いました。WLMはよくTVに出ているので、みんな彼を知っていて喜んで笑います。アフリカはHIVが多いと聞いていたので現実を見たという思いでいたら、なんと「日本からもHIV患者が結構くる」と知らされた時は唖然としました。





                                     WLMの息子がかぶる
                                    「コンチャンマーク」の帽子



ラリベラには巨大な岩を削り抜いて造る岩窟教会群があり、高さ12m、幅12m、奥行き12mの聖ギオルギス教会は正十字形の教会が地下に掘られていて世界遺産に指定されています。旧約聖書に出てくるシバの女王の遺跡は紀元前10世紀ころの繁栄を今になお示しており、モーゼの妻もエチオピア人だったそうです。笑いツアーの仲間達はこうした歴史的遺産を訪れるたびに、エチオピアの誇りを想い深い信仰心を表して祈り笑います。「信仰と伝説の国」と言われる所以でしょう。





  大きな岩山を上から堀り削って造った岩窟教会


町を歩いていると足元に何かを感じたので振り向くと、小さな男が手で私の足を握ろうとしていました。彼の足は細い小枝の様で真っ黒に汚れ立つことはできません。私は急いでポケットのお札を彼の手に渡しながら、あまり奇妙な姿に変形した彼の身体を見て涙が頬から滝のように流れ、思わず彼を抱きしめていました。WLMも側に来てTシャツをあげながら彼に「笑ってごらん」と言いました。黒い小さい人は、私に向かって笑いました。そして泣いている私を見て、「もう泣かないで!泣かないで!! 僕は今嬉しいんだから。一緒に笑って!!!」と言うのです。…。私は彼から逆に励まされたのです。そしてやっと小さな声で笑う事が出来ました。



ツルゲーネフの散文詩”乞食”さながらの場面

アジスアベバは大きな市で、400万人が住んでいます。ロビンがニヤニヤしながら「貴女を待っている人がいるから会いに行こう。ルーシーという人だよ。」といい、国立人類学博物館に連れて行ってくれました。“ルーシーって誰?” と私は思いました。博物館の奥まったところに、そのルーシーはいました…。今から350万年前人類が初めて二足歩行したと言われる人骨の化石がほぼ完全な形で私を待っていてくれたのです。“ハロー!ルーシーと私は笑って350万才のルーシーに挨拶しました。


ロビンが言います。「ルーシーが二足歩行した人間の始まりだとすれば、彼女はおそらく笑っただろうね。僕たちは人類最初に笑った人間の前に今立っているんだ。素晴らしい事だね〜。」私は何も知らずにエチオピアに来たことを恥ずかしくなりました。そして笑いに関わる仕事をしている一人として、ルーシーに会えた事をとてもラッキーだと思わずにいられませんでした。





       LUCYも笑っていた!

笑い巡礼2400kmの旅は、年が変わる1月1日、無事終了しました。この旅の間で起こった様々な出会い・発見・命・生きる事・笑いのパワーの素晴らしさを感じながら私はエチオピアの人々の懐に深く入り込んでいきました。エチオピアの田舎の町を旅すると「人間とは何か」を考える良い機会になりました。

WLMボラッチョウはまだDr.Katariaと会っていませんが、何時かロビンと一緒にお引き合わせできる機会を作りたいです。そして笑いが平和に向けて人を変え、地域を変え、世界を変える事が出来る大きな運動であることを今回の旅でも強く確認しました。今世界の愛と平和を築く二人の巨匠に出会えたことに感謝し、大きな使命を感じながら、今後もラフター(笑い)の活動に精進したいと思います。
(アマゾンなすこ山口MT)
                            アフリカとアジアとヨーロッパが笑いで一つになった

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